【信州の峠】中山道が通る上信国境の峠 旧碓氷峠(軽井沢町)

古代には、東国(あずまのくに)は、碓日嶺(碓氷峠)と足柄峠(神奈川県と静岡県の県境)の東を指しました。坂東(ばんどう=坂の東側)という地名も、実は碓氷峠から坂本へと下る碓氷坂、足柄峠の足柄坂から東側。近世以降は、中山道が通り、上州(群馬県)と信州(長野県)の国境の峠として峠の集落、峠の熊野神社が繁栄しました。

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まずは旧碓氷峠見晴台から絶景を堪能しよう

地図を見るとめがね橋を通る、国道18号旧道にも「碓氷峠」の名がありますが、これは明治19年に国道18号が開通後の峠。

旧碓氷峠は、中山道の上信国境に位置する峠で、標高1190mという高所のため、中山道の難関にもなっていました。峠から京を目指して西に下ると軽井沢宿(現在のメインストリート)、東へかなり長い峠道を下れば坂本宿となります。
峠の少し南側に旧碓氷峠見晴台があり、上州側には奇岩怪石の妙義山、信州側に浅間山、テーブルマウンテンと呼ばれた離山、そして軽井沢の町並みが眺望できます。

この中山道旧碓氷峠、実は日本海と太平洋の分水嶺にもなっています。
群馬側へと流れる水は太平洋へ、軽井沢側へと流れれば、千曲川・信濃川となって日本海に注ぎます。

この旧碓氷峠をタモリが見逃すはずもなく、「軽井沢への道のり」がテーマの『ブラタモリ』(NHK)も放送されています。タモリは、旧碓氷峠見晴台で群馬側の麓から碓氷峠への道が、軽井沢からの道より高低差の大きいことを確認し、碓氷峠が「片峠」であることを認識します。
ちなみに軽井沢942m~標高差250m~碓氷峠見晴台1192m~標高差806m~横川386m。

さらに旧碓氷峠から坂本宿へと下る中山道は、「溶岩流がつくったなだらかな尾根の上に街道がひかれている」ことを知ります。
さらに碓氷峠で見つけた日本列島を真っ二つに分ける「本当の境(頂点)」とは? で、群馬県側は利根川水系~太平洋へと流れ、長野県側は信濃川水系~日本海へと流れる、旧碓氷峠こそが、本当の境としています。

そんな旧碓氷峠へは軽井沢側からのみドライブでの到達が可能で、長野県道481号峠町軽井沢線が通じていますが、おすすめは、メインストリートのはずれから、旧碓氷峠遊覧歩道(上り1時間30分、下り1時間)を使っての散策です。この遊覧歩道、大正7年に名古屋市の近藤友右衛門氏が私財をなげうって開いたもの。見晴らし台も、中世の狼煙台(のろしだい)をその時、整備したのだとか。
ちなみに峠から群馬県側には車道はなく、坂本へと下る旧中山道(山道)と、霧積温泉へと下るハイキングコース(歩行の場合は状況を安中市に事前に確認を)のみ。

峠の集落には、店の中を県境が走る「峠のちから餅 元祖しげの屋」、群馬側・熊野神社の宮司が経営する「碓氷山荘」と「力餅」が自慢の茶店もあるので、ぜひお立ち寄りを。

碓氷峠の東が「坂東」

『日本書紀』景行紀には、日本武尊(やまとたけるのみこと)が坂東平定から帰還する際に、碓氷坂(碓日坂)で、安房沖(現在の東京湾/木更津は君去らず)で入水した妾妃の弟橘媛を偲んで「吾妻(吾嬬=あづま)はや」とうたったと記されています。ただし、『古事記』には足柄坂と記され、さらに仮に碓氷坂だったとしても、その場所は碓氷峠説と鳥居峠説がありさだかでありません。
現在国道18号(碓氷バイパス)の通る入山峠(標高1030m)からは古墳時代の祭祀遺跡が発見され、古墳時代頃の碓氷峠は、現在の入山峠あたりとも推測されています。

中山道の通る、旧碓氷峠の頂上には熊野神社が鎮座していますが、社伝によれば日本武尊が霧に包まれた碓氷峠を越えるとき、一羽の八咫烏(やたがらす)が梛(ナギ=悪霊をなぎ倒すといわれます)の葉を咥えて道案内をしたことに感謝して、熊野の神を勧請したと伝えられています。

鎌倉時代に松井田の武士団、松井田一結12人が、当世と来世の「二世安楽」を祈願して奉納した鐘には正応5年4月8日(1292年5月3日)銘があることから、鎌倉時代にはすでに幹線道となっていたことがわかります。
慶長19年(1614年)旧暦4月末に碓氷峠を越えた伊達政宗は、「夏木立、花は薄井の峠かな」と詠んでいます。

江戸時代まで峠に鎮座するのは神仏混合で熊野権現(熊野宮)。実はこの熊野権現、上野国(群馬県)と信濃国(長野県)の国境に社殿・堂宇があり、第二次大戦後の宗教改革で大変な事態に。
慶応4年(1868年)に熊野皇大神社に改称し、さらに第二次大戦後、都道府県ごとに宗教法人の登記がされることになったため、長野県側が熊野皇大神社、群馬県側が熊野神社として鎮座しているのです。

ちなみに、峠を越える道(近世には中山道)が『ブラタモリ』のロケで、タモリも意外に緩やかなことを実感していますが、100万年前の溶岩流の浸食が進まず残った部分を、古の人がそれを理解し、街道として選んで整備したというわけです。

旧碓氷峠の長野県側に鎮座する熊野皇大神社

旧碓氷峠の長野県側に鎮座する熊野皇大神社

旧碓氷峠 DATA

名称 旧碓氷峠/きゅううすいとうげ
所在地 長野県北佐久郡軽井沢町峠町
群馬県安中市松井田町坂本
電車・バスで JR軽井沢駅からタクシーで20分
ドライブで 上信越自動車道碓氷軽井沢ICから県道43号を9km走った新軽井沢交差点を右折、500m先の駅入口交差点を左折、三笠通を1.5kmの旧軽ロータリーを右折、県道(旧中山道)を旧碓氷峠へ
駐車場 10台/無料

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