【信州の池】ブーム寸前! 東山魁夷の愛した御射鹿池|茅野市

諏訪ICから奥蓼科温泉郷に通じる「湯みち街道」沿いにある小さな農業用ため池、御射鹿池(みしゃかいけ)。実はこの池、日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)が作品に描き、液晶テレビのCMで話題に。その後、じわりじわりとブームの兆しが・・・。最近、SNSなどで話題になりつつあり、ブレイク寸前です!

東山魁夷の代表作『緑響く』はここで生まれた!

白樺湖と同様、農業用のため池としてつくられた御射鹿池ですが、日本画家・東山魁夷が御射鹿池をモデルに代表作のひとつ『緑響く』を描いたことで美術愛好家の間で注目され、さらに『緑響く』が、シャープのAQUOSのCMで使われたことで、一躍有名になりました。

日本画家、東山魁夷が信州を初めて訪れたのは大正15年、東京美術学校1年生の夏休みに木曽の御嶽山へ登ったのが最初です。長野市に長野県信濃美術館・東山魁夷館があるように、信州は「作品を育ててくれた故郷」(東山魁夷)なのです。
長野県信濃美術館・東山魁夷館に収蔵される絵画のうち、とくに注目は、『夕明り』と『緑響く』でしょう。
ともに風景の中に白馬が描かれていますが、『夕明り』は八島ヶ原湿原。そして『緑響く』が御射鹿池です。

この御射鹿池、農林水産省のため池百選に選定されていますが、その割にはまだまだ無名。
「その幻想的な美しさから、朝夕にはカメラマンの姿を見かけますが、人がいないときの湖面に映り込む自然の美しさはまさに一幅の絵のようです」と地元の観光関係者も力説します。

池は酸性が強く、生き物が棲息することができません。そのために泳ぐ魚もいないので静寂そのもの。
酸性を好むチャツボミゴケが湖底に繁茂しているために、池面が青緑に輝き、そこに周囲の森が映るのだとか。
制作当時に比べて池周辺の木々が育っているそうですが、見た目には東山魁夷の絵そのものです。

「一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左へと歩いて消え去った―― そんな空想が私の心のなかに浮かびました。私はその時、なんとなくモーツアルトのピアノ協奏曲の第二楽章の旋律が響いているのを感じました。おだやかで、ひかえ目がちな主題がまず、ピアノの独奏で奏でられ、深い底から立ち昇る嘆きとも祈りとも感じられるオーケストラの調べが慰めるかのようにそれに答えます。白い馬はピアノの旋律で、木々の繁る背景はオーケストラです」(東山魁夷/『東山魁夷館所蔵作品集』信濃毎日新聞社刊)

ちなみに御射鹿池という不思議な名前は、文字通り、諏訪大社の鹿狩り場。諏訪大社に伝わる神に捧げるための鹿を射るという神事、御射山御狩神事(みさやまみかりしんじ)に由来すると推測できます。

御射鹿池の池面に映る周囲の木々に注目!
御射鹿池の池面に映る周囲の木々に注目!

 

御射鹿池
名称 御射鹿池/みしゃかいけ
所在地 長野県茅野市豊平
関連HP 茅野市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR中央本線茅野駅からタクシーで30分
ドライブで 中央自動車道諏訪ICから約25km
駐車場 30台/無料
問い合わせ 茅野市観光案内所 TEL:0266-72-2637/FAX:0266-73-8322
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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