池桜の接吻道祖神

池桜の接吻道祖神

長野県安曇野市明科(旧明科町)の山中にある双体道祖神が、池桜の接吻道祖神(いけざくらのせっぷんどうそじん)。安曇野に多い双体道祖神ですが、男性像と女性像が接吻(せっぷん)をする姿は、実に希少(現存する江戸時代の接吻道祖神は長野県内に4基ほど)。

江戸時代造立、2体の接吻道祖神が並んでいる!

池桜の接吻道祖神は、像高55cm、幅45cm、厚さ26cm、砂岩製で江戸時代中期(もしくは江戸時代後期)の造立、安曇野市の文化財に指定されています(指定名称は「池桜の石造接吻道祖神」)。
3基が並び、左側に「安政六未正月日」(安政6年=1859年)の銘が入る祝言・酒器型の双体道祖神(女神が男神の背後に隠れる)、右側に抱擁するような双体道祖神(接吻像/像高44cm)が配され、中央が接吻道祖神。
近づいて顔の部分を見てみると、舌を絡めているようにも・・・。
砂岩でできているので風化が進んでいるのが残念ですが、貴重な民俗資料となっています。

池桜は、筑北地方と川手地方を結ぶ山道が通る地(北側の山には高登屋物見跡、不寝見屋敷砦跡なども)で、かつては多くの旅人が通ったのかもしれません。

接吻道祖神は、池桜集落を見守る墓地にありますが、集落までの道は無雪期でも4WDでないと上るのが困難な道。
接吻道祖神の少し手前に車を止めて、次のカーブまで林道を歩けば、屋根の付いた小屋掛けになった双体道祖神3基が目に入ります。
周辺は熊も出没するので、グループでの行動をおすすめします(単独での行動の際は音を出すなど工夫を)。

ちなみに道祖神は、村境で悪霊や悪い病が村へ入るのを防ぎ、旅人の安全を守り、五穀豊穣、家内安全、子孫繁栄などの守り神。
安曇野市内には400体以上の道祖神があるとされ、単体の市町村では日本一の数を誇っています。

池桜の接吻道祖神
名称 池桜の接吻道祖神/いけざくらのせっぷんどうそじん
所在地 長野県安曇野市明科東川手池桜
電車・バスで JR明科駅から町営バス潮沢線で白坂口下車、徒歩15分
ドライブで 長野自動車道安曇野ICから約14km
問い合わせ 安曇野市観光情報センター TEL:0263-82-9363
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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