周囲(八方)が見渡せることが名の由来という八方尾根。冬場のスキーで有名な八方尾根ですが、「八方アルペンライン」のゴンドラとリフトを乗り継いだ八方池山荘(第1ケルン)から1時間ほどのトレッキングで、日本アルプス屈指の「絶景高山池」である八方池に到達します。
八方池山荘から1時間のトレッキングで八方池に到達
山麓の八方駅から、八方ゴンドラリフト「アダム」(八方駅〜兎平駅)、アルペンクワッドリフト(兎平〜黒菱平)、グラートクワッドリフト(黒菱平〜八方池山荘)を乗り継ぐと(グリーンシーズンの営業は例年6月上旬〜10月)、八方池山荘に到着します。
ここから尾根沿いの道、巻道(初夏には雪渓が残ります)に分かれますが、いずれの道を登っても八方池までは徒歩1時間ほど。八方尾根自然研究路として整備された道です。
グラートクワッドリフトを降りた第1ケルンからも晴れていれば富士山まで眺望できる絶景ですが、尾根沿いの道を歩けば、白馬三山(白馬岳・杓子岳・鑓ヶ岳)を眼前に、唐松岳から派生する不帰(かえらず)キレットと呼ばれる断崖絶壁(不帰険=かえらずのけん)のアルペン的な山容が印象的に迫ります。
標高2000mなのに3000mクラスの高山植物群落が!
リフトの終点である八方池山荘は標高1830mほどですが、このあたりですでに森林限界。
実は八方尾根は超塩基性の蛇紋岩(じゃもんがん=地下深くのマントルを構成する岩)がベースになっており、2000m前後の標高で3000mクラスの稜線に咲く花が観察できる、超ラッキーな場所なのです。
7~8月には黒菱平付近にニッコウキスゲ、コバイケイソウ、八方池周辺にはチングルマ、マツムシソウなどの高山植物が咲きます。
八方池横の第3ケルンで標高2086m、八方池自体の標高は2060mほどなのですが(八方池山荘との標高差は230m)、蛇紋岩の影響で完全に高山帯の雰囲気です。池の周囲は標高がやっと2000mなのにハイマツが茂っているのです。
八方池は凹地に雪に押し出された土砂の堆積でできたい池で、雪解け水や雨水がたまった神秘的な天然池。水深は最も深いところで4.4mと意外に深さもあります。
八方池から先は唐松山荘へと続く登山道ですが、蛇紋岩は標高2100mまでしか露出しておらず、この先、登山道を頑張って登ると、なんとダケカンバの林に突入。森林限界を超えたはずなのに再び森林という珍しい逆転現象が起きているのです。
本格的な登山の装備がない場合は、八方池山荘へと下りましょう。
ちなみに、夏場は夏雲の日変化があり、午後は稜線の東側に雲が湧きやすい状況に(西側の黒部側は晴れていても)。
ですから前日に白馬か小谷に宿を取り、早めにトレッキングを始めるのがおすすめです。
午後は雷雲にご注意を。
八方池 | |
名称 | 八方池/はっぽういけ |
所在地 | 長野県北安曇郡白馬村北城 |
関連HP | 八方尾根アルペンライン公式ホームページ |
電車・バスで | JR白馬駅から松本電鉄バス八方行き、猿倉行きで5分、八方下車。徒歩10分の八方駅から八方アルペンラインのゴンドラリフト、リフトで第1ケルン、徒歩1時間 |
ドライブで | 長野自動車道安曇野ICから約50km |
駐車場 | 八方第3駐車場(200台/無料) |
問い合わせ | 八方インフォメーションセンター TEL:0261-72-3066 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |