長野県木曽郡木曽町・王滝村、岐阜県下呂市・高山市にまたがる巨大な火山が御嶽山(おんたけさん)。その主峰で最高峰が剣ヶ峰(けんがみね)で、標高3067m。御嶽講の信仰登山の対象になり、剣ヶ峰にも御嶽神社奥社が鎮座しています。深田久弥の『日本百名山』にも選定される名山。
御嶽講の人々が行列して登った聖なる山
東日本火山帯の西端に位置し、平成26年年9月27日の噴火で、登山者ら58名が死亡しているのは、この剣ヶ峰周辺で、剣ヶ峰南西の地獄谷から噴火したもの。
剣ヶ峰の山頂部には、御嶽山噴火災害慰霊碑、いざという時に避難するシェルターも設置されています。
木曽節に「木曽のナー 仲乗(なかのり=筏を組んで木材を川流しする際に、真ん中に乗った人)さん 木曽の御岳 ナンジャラホイ 夏でも寒い ヨイヨイヨイ」と歌われる木曽のシンボル。
修験の地として、山岳信仰の隆盛とともに登拝する人が増え、天明4年(1784年)に尾張の行者・覚明(かくめい)が三岳村の黒沢口を開き、寛政6年(1794年)には武蔵国・秩父大滝村の行者・普寛(ふかん=胃薬「百草」創始者)によって王滝口が開かれ、先達(せんだつ)と呼ばれるガイドを先頭に、講中登山が行なわれました。
明治維新の神仏分離で現在は、仏教色が排除された御嶽神社となっていますが、江戸時代までは神仏習合の御嶽山そのものを信仰するものでした。
現在でも、王滝口、黒沢口の両登山道には2万基を超える霊神碑(れいじんひ)が林立していますが(御嶽講の信者は、死後の霊魂は童子として御山・おやまに引き取ってもらえると信じられてきました)、講中登山の目的も、剣ヶ峰の登拝です。
今も夏になれば、白衣姿で登拝する人を御嶽講の人々を数多く見かけます。
登山道は、田の原までマイカー、バスなどで入り、田の原〜王滝頂上〜剣ヶ峰が最短ルートですが、爆発後に王滝頂上〜剣ヶ峰は入山規制を実施(王滝頂上〜剣ヶ峰は火口壁を歩くため危険)。
御嶽山・剣ヶ峰へのアプローチは、二ノ池・横道十字路〜剣ヶ峰ですが、ヘルメットをかぶるなどの対策、登頂後の速やかな下山などが定められています。
観光的には、田の原にある御嶽神社遥拝所から剣ヶ峰を遥拝するのがおすすめです。
御嶽山(剣ヶ峰) | |
名称 | 御嶽山(剣ヶ峰)/おんたけさん(けんがみね) |
所在地 | 長野県木曽郡王滝村田ノ原 |
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