【信州の池】戸隠連峰を鏡のように映す! 鏡池|長野市・戸隠高原

戸隠中社社前から池めぐりコースの散策路で小鳥ヶ池、硯石を経て到達できるのが鏡池(所要1時間)。戸隠神社奥社の随神門からなど戸隠高原のハイキングがてらに立ち寄るには絶好のスポットになっています。池の畔近くまで車道も通じていますが、周囲の環境を味わうためにもぜひ歩きで到達してもらいたい池です。

天手力雄命が投げた天の岩戸が戸隠山!?

戸隠神社に伝わる天の岩戸伝説。
「昔、天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟の素戔鳴尊(すああのおのみこと)の乱暴を怒って天の岩屋へお入りになってしまわれました。大勢の神様たちは、岩屋の前に集まって、天照大神に岩屋から御出でになっていただくにはどうしたらいいだろうかと、相談をしました」

その時、天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)の発案で、岩戸の前でまず鶏を沢山集めて鳴かせさらに、踊りが上手な天鈿女命(あめのうずめのみこと)が舞を踊ることに。
「岩屋のなかの天照大神は何事がおきたのかと、そっと岩戸をあけて外をご覧になりました。その時岩戸の陰で待ち構えていた天手力雄命(あめのたぢからおのみこと/戸隠神社奥社の祭神)が岩戸に手をかけ、えいやーとこじ開けたのです」

天手力雄命は、岩戸を下界に向かって投げたところ、それが戸隠山になったのだとか。

戸隠神社は明治初年の神仏分離、廃仏毀釈までは神仏混交、修験の霊地として栄えました。
室町時代の『戸隠山顕光寺流記并序』(とがくしさんけんこうじるきならびにじょ)には、鬼を戸で隠したことが戸隠の語源とあり、
さらに『戸隠山顕光寺流記』(とがくしさんけんこうじるき)』にも「手力雄命が天の岩戸を隠し置いた」と記されています。

前置きが長くなりましたが、天の岩戸=戸隠山でそれがもっともビジュアルに眺められるのが鏡池というわけなのです。
左側の尖ったピークが連なる山が西岳で、左から第三峰(1980m)、第二峰(1981.6m)、第一峰(1989m)、西岳(2053m)、本院岳(2030m)と続きます。その右が戸隠山で八方睨(はっぽうにらみ/1900m)、戸隠山(1904m)、九頭龍山(1882.7m)と連なっています。

鏡池から眺める西岳・戸隠山
鏡池から眺める西岳・戸隠山
 

戸隠山はかつて海底だった!

鏡池のある場所で標高はすでに1200mもあるので、標高差は700m〜800mしかありません。
それでも立ちはだかって見えるのは急峻だから。実は新第三紀の海底火山由来の火成岩というから驚きです。
鏡池から眼前にする山体からは、寒流系の貝類、魚類、鯨などの化石が見つかっているのです(太古、戸隠山は海底だった)。

さてさて、鏡池ですが、実は手元にある昭和32年の観光地図には記載がありません。
それもそのはず、この鏡池、農業用ため池で、清冽な雪解け水をいったんためて温めてから水田に引水するためのもの。
「西原温水ため池」という味気のない名前が付けられています。池の横に堰堤もあるので時間があれば確認を。

ちなみに、紅葉シーズンはカメラマンや観光客に大人気のスポットで、10月の土・日曜、祝日には、鏡池付近にマイカー規制が実施されます。

紅葉時期には観光客とカメラマンで大賑わい
紅葉時期には観光客とカメラマンで大賑わい
厳冬期の鏡池。結氷しています
厳冬期の鏡池。結氷しています

 

鏡池
名称 鏡池/かがみいけ
所在地 長野県長野市戸隠
関連HP 戸隠観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR長野駅からバスで1時間、徒歩30分
ドライブで 上信越自動車道信濃町ICから約17km、長野ICから約30km(10月土・日曜、祝日はマイカー規制を実施)
駐車場 50台/無料
問い合わせ 戸隠観光協会 TEL:026-254-2888/FAX:026-254-2678
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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