長野県大町市大町にある仁科氏ゆかりの古社が、若一王子神社(にゃくいちおうじじんじゃ)。社伝では垂仁天皇の御代に仁品王(仁科氏の祖)が社を建て伊弉冉尊を奉祀したのに始まるという古社。嘉祥2年(849年)、土地の豪族・仁科氏が社殿を創建しています。信濃の熊野信仰を今に伝える神社です。
境内には神仏習合時代の名残、三重塔、観音堂も
鎌倉時代に仁科盛遠(にしなもりとお)が紀州・熊野権現に詣でた際、熊野那智大社第五殿に祀られる若一王子(にゃくいちおうじ)を勧請したことから「若一の宮」(若一王子権現)と称されるようになりました。
仁科盛遠は熊野詣の折、後鳥羽上皇の知遇を得て、その縁で西面武士として仕えてもいます。
神仏習合時代には若一王子権現という寺で、藩政時代には松本藩の庇護を受けましたが、明治の神仏分離で若一王子神社となっています。
境内に三重塔(県宝)があるのは神仏習合時代の名残です。
祭神は、伊弉冉尊(いざなみのみこと)、仁品王、仁品王の后である妹耶姫(いもやひめ)と若一王子。
現存する本殿は弘治2年(1556年)、仁科盛康(にしなもりやす=木崎湖畔の森城主)の造営で国の重要文化財。
拝殿は昭和50年に神宮(伊勢神宮)の旧社殿の一部を譲り受けたものです。
境内にそびえる三重塔は、宝永8年(1711年)、木食山居の勧進によって建立されたもので、五智如来(大日如来、阿閦如来、宝生如来、阿弥陀如来、釈迦如来)の坐像が祀られています。
仁科三十三番札所巡りの第一番札所でもある観音堂は、宝永3年(1706年)建立で、長野県の県宝。
火不見(ひみず)の観音様といわれ火災除けの霊験があらたかです。
うっそうたる社叢は長野県の天然記念物。
例祭は7月第4日曜日に齋行され、無形民俗文化財の流鏑馬(やぶさめ)の奉納があります。
承久3年(1221年)、仁科盛遠が後鳥羽上皇の院宣を奉じ武運を祈って流鏑馬(やぶさめ)を奉納したのに始まるという歴史ある神事です。
若一王子神社 | |
名称 | 若一王子神社/にゃくいちおうじじんじゃ |
所在地 | 長野県大町市大町2097 |
関連HP | 若一王子神社公式ホームページ |
電車・バスで | JR北大町駅から徒歩10分 |
ドライブで | 長野自動車道安曇野ICから約28km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 若一王子神社 TEL:0261-22-1626/FAX:0261-23-4655 |
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