見る
プレスマンユニオン編集部
大法寺
長野県小県郡青木村にある天台宗の古刹が大法寺。8世紀初頭、律令時代の始まりとともに、朝廷と東国を結ぶ令制東山道(りょうせいとうざんどう)の浦野駅(うらののうまや=現・青木村当郷の浦野駅跡公園)が近くにあったこともあり、その駅寺だったと推測できます。現存する三重塔は鎌倉時代の築で、国宝です。
三重塔は信州に5ヶ所しかない国宝建築物
奈良時代の大宝年間(701年~704年)、藤原鎌足(ふじわらのかまたり)の子・定恵(じょうえ)の開基と伝えられていますが、定恵は天智天皇4年(666年)に没しているので、年代が合わないことになります。
令制東山道の浦野駅は保福寺峠を控えて15頭の馬を配備する駅でした(通常、東海道・東山道は10頭を配置と養老律令の「厩牧令」に定められていました)。
駅には駅寺があるのが通例だったので、大法寺はその駅寺だった可能性が高く、大宝年間創建という伝承とも一致します。
十一面観音菩薩立像、普賢菩薩立像など寺に伝わる仏像は、平安時代の作で国の重要文化財。
厨子と須弥壇は、室町時代の作でやはり国の重要文化財になっています。
伽藍の最も高い位置に建つ三重塔は、正慶2年(1333年)建立の和様の塔で、国宝。
巨大なカヤの大木は、戦国時代の永正8年(1511年)、本堂再建時に植えられたと伝えられています。
律令時代の東山道は、錦織駅(旧四賀村錦部)から保福寺峠を越え、浦野駅から信濃国分寺を経て、碓氷峠(うすいとうげ/現・軽井沢)へ抜けていました。
それ以前の古東山道は、松本平を通ることはなく、伊那から諏訪を経て蓼科を越えていました。
江戸時代も松本藩主の参勤交代には保福寺峠街道が利用されていたので、現在の青木村は交通の要衝だったことがわかります。
ちなみに、大化の改新で定められた信濃国の国府は、小県郡(現・上田市神科台)にあったと推測され(諸説あり、定かでありません)、後に筑摩郡(現・松本市)に移っています。
大法寺 |
名称 |
大法寺/だいほうじ |
所在地 |
長野県小県郡青木村当郷2052 |
関連HP |
大法寺公式ホームページ |
|
電車・バスで |
上田交通別所温泉駅からタクシーで15分 |
ドライブで |
上信越自動車道上田菅平ICから約18km |
駐車場 |
第1駐車場(10台/無料)・第2駐車場(9台/無料) |
問い合わせ |
大法寺 TEL:0268-49-2256 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。
-
横谷峡
長野県茅野市、蓼科中央高原と通称される奥蓼科温泉郷の明治温泉から横谷温泉にかけての4kmの間に展開する渋川の峡谷が、横谷峡(よこやきょう)。蓼科パークホテル近くの横谷峡入口バス停から上流の横谷観音、さらに上流のおしどり隠...
2020/03/14 に投稿された | カテゴリ: 歩く, 茅野市, 見る
-
はなもも街道(清内路の花桃)
木曽谷と伊那谷を結ぶ国道256号(清内路越え)は、「はなもも街道」と呼ばれ、南木曽町の妻籠宿から清内路村、阿智村をへて飯田ICに至るまでの区間に数千本の花桃が植栽されている。街道沿いでとくに見事なのは清内路越え。沿線に5...
2018/03/25 に投稿された | カテゴリ: 花見, 見る, 阿智村
-
白馬岳「代掻き馬」の雪形
北アルプスの名峰・白馬岳(しろうまだけ/2932.5m)。標高こそ3000mに満たないものの、冬場の厳しい気候などを反映して白馬大雪渓などの雪渓が多く、アルピニスト憧れの山のひとつに。その白馬岳の「白馬」という名の由来に...
2019/04/29 に投稿された | カテゴリ: NEWS&TOPICS, 白馬村
-
旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道
長野県安曇野市明科、昭和63年に東側の山中を第1白坂トンネル、第2白坂トンネルで抜けるようになった篠ノ井線の廃線跡は、現在、旧国鉄篠ノ井線廃線敷遊歩道として整備され、廃線跡ウォーキングが可能。途中にはレンガ造りのトンネル...
2023/04/13 に投稿された | カテゴリ: 安曇野市, 歩く
-
日本で唯一の隕石クレーターは南アルプス山中に!(御池山隕石クレーター)
クレーター (crater) とは、天体衝突などによって作られる地形のこと。 隕石や小惑星がドカーンと地球に衝突し、地表に生じた巨大な凹みがクレーターです。 地球上で現在確認・公認されている衝突クレーターは直径10mから...
2016/06/09 に投稿された | カテゴリ: 飯田市
-
中山道旧碓氷峠の名物!「しげのや」元祖力餅
中山道の難所のひとつ、上信国境(群馬・長野県境)に位置する旧碓氷峠。峠には国境をまたぐように熊野皇大神社(群馬県側は熊野神社)が鎮座していますが、その向かいにあるのが元祖力餅の「しげのや」。若主人の水澤貴文さんは、熊野皇...
2016/09/08 に投稿された | カテゴリ: グルメ, 信州の峠, 軽井沢町
-
乗鞍高原一の瀬園地
乗鞍岳・剣ヶ峰付近から流れ出した番所溶岩流で形成された乗鞍高原。乗鞍高原一ノ瀬園地は、標高1500mにある美しい園地で、白樺が点在する草原、小川のせせらぎ、池などがあり、散策はもちろん、バーベキューが楽しめます。かつては...
2018/08/03 に投稿された | カテゴリ: 松本市, 歩く, 見る, 遊ぶ
-
常念岳「常念坊」雪形
白馬岳、蝶ヶ岳など、北アルプスには雪形が山名になっているものがありますが、安曇野から眺めるピラミッド型の山容が印象的な常念岳(2857m/長野県安曇野市・松本市)もその派生。春先に前常念岳(2661.9m/安曇野市)の東...
2021/05/26 に投稿された | カテゴリ: NEWS&TOPICS, 安曇野市
-
池の平湿原
浅間山から西に派生する標高2000m内外の尾根上、高峰高原と湯の丸高原の中間、標高2040.7mの三方ヶ峰の火口原に広がる湿原が池の平湿原です。標高2000mほどに位置する湿原で、7月初旬はアヤメの群生、7月〜8月にはニ...
2018/07/24 に投稿された | カテゴリ: 東御市, 歩く, 見る
-
【信州の池】ブーム寸前! 東山魁夷の愛した御射鹿池|茅野市
諏訪ICから奥蓼科温泉郷に通じる「湯みち街道」沿いにある小さな農業用ため池、御射鹿池(みしゃかいけ)。実はこの池、日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)が作品に描き、液晶テレビのCMで話題に。その後、じわりじわりとブーム...
2016/08/03 に投稿された | カテゴリ: 信州の池, 茅野市