長野県木曽郡上松町、日本三大美林のひとつ、木曽ヒノキの美林・赤沢自然休養林内、渓流沿いを走るのが、赤沢森林鉄道。かつて木曽谷で大活躍した森林鉄道を復元したもので、呑曇淵(どんどんぶち)などの絶景の横を走る光景は、今やSNSなどでも取り上げられ、海外でも話題に。沸騰寸前の状況です。
「森林浴発祥の地」で森林鉄道を動態保存!
中央本線上松駅近くと木曽ヒノキが茂る赤沢を結び、渓谷沿いに木曽森林鉄道が開通したのは、大正5年のこと。
明治43年10月5日には中央西線が須原駅〜上松駅の延伸が実現し、それまでは木曽節に歌われる中乗さんの筏流し(いかだながし)だった木材搬出も、ついに鉄道輸送時代が幕を開けました。
上松駅近くに貯木場が築かれ、森林鉄道から中央西線に積み替えて、木材搬出が行なわれるようになると、森林鉄道も発展、上松周辺だけでも総延長500kmという距離を誇っていました。
戦後の高度経済成長で、鉄道輸送からトラック輸送への転換が進むと、営林署による木材搬出も、林道を建設してのトラック輸送へと変化します。
こうして、上松〜赤沢を結んだ木曽森林鉄道小川線も昭和50年5月30日、『さようなら林鉄記念式典』、ボールドウィン機関車の『さよなら運転』が行なわれ、終止符を打ったのです。
木曽森林鉄道の花形として活躍したアメリカ・ボールドウィン社製のB1リアタンク型蒸気機関車は、昭和35年に現役を引退、その後はディーゼル機関車が活躍していました(森林鉄道の蒸気機関車としては、もっとも有名な舶来メーカーというのがペンシルベニア州のボールドウィン社)。
最後まで残った3両のうちの2両は、名古屋港からアメリカに里帰りし、現在はカリフォルニア州の交通博物館に保存されています。
廃線となった木曽の森林鉄道ですが、その歴史的な背景から保存を望む声が高まり、林野庁は、赤沢自然休養林内に森林鉄道記念館の建設を決定。
運行当時の車両や資料が集められ、新たに上流側の渓流沿いに軌道を敷設、昭和62年夏に復活したのが、赤沢森林鉄道です。
客車を牽引するのは、実際に森林輸送で活躍したディーゼル機関車で、森林鉄道記念館から上流側にある丸山渡(まるやまど)まで1.1kmを往復するかたちで運転されています。
赤沢自然休養林は森林浴発祥の地でもあり、森林鉄道の走る渓谷沿いにはふれあいも道(バリアフリーの木道)も整備されているので、帰路は森林鉄道の写真を撮り、森林浴を楽しみながら戻ることもできます。
見ごたえあるヒノキの茂る冷沢コースなどを歩けば、カモシカなどに出会う確率も高まります。
海外からも注目! 木曽ヒノキの美林を走る赤沢森林鉄道とは!? | |
開催日時 | 4月下旬~11月上旬運行 |
所在地 | 長野県木曽郡上松町小川 |
場所 | 赤沢森林鉄道 |
関連HP | 上松町公式ホームページ |
電車・バスで | JR上松駅からおんたけ交通バス赤沢行きで30分、終点下車 |
ドライブで | 中央自動車道中津川ICから約63km |
駐車場 | 300台/有料 |
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