横湯川上流の一軒宿、地獄谷温泉(山ノ内町)のそばにある「地獄谷野猿公苑」、餌付けされたニホンザルを観察することができる場所ですが、冬は温泉につかる野猿が見物できるとあって、今や「Snow Monkey」は世界的に有名に。
猿がドボンと露天風呂に飛び込んだのは昭和37年!
昭和32年に、当時、長野電鉄の職員だった原壮吾さんが「野生猿を餌付けすれば観光資源にもなる!」 と長電に企画書を提出し、餌付けにチャレンジ。5年かかって見事に餌付けに成功し、野猿公苑を整備したのです。
ニホンザルたちが露天風呂に飛び込むようになったのは、とあるきっかけから。好奇心旺盛な1匹の子猿が、旅館「後楽館」の露天風呂に興味を持ちその周辺で遊んでいた際にドボン。「温泉もなかなかいいじゃないか」(これは推測)というのがいつしか群れ全体に伝わり、露天風呂に集まるようになってきたのだとか。
当然、ボス猿など、警戒心の強いサルは、入浴しません。
その後、旅館の露天風呂ではマズイということで、野猿専用の露天風呂が整備されたというワケです。
昭和43年にはチャールトン・ヘストン主演の映画『猿の惑星』が公開されたこともあって、「温泉に猿がつかるのは進化?」という質問も多かったそう。でも進化ではなく、学習というのが正解。
野猿が入浴するのは基本、冬季だけ!
現在では160頭ほどの餌付けされた野猿がいて、そのうち露天風呂に入浴するのは50頭〜60頭ほど。世界でも唯一の「野猿専用」の露天風呂ですが、夏場はさすがに入浴しません。雪の積もる寒い時期だけなので、「Snow Monkey」と呼ばれているのです。
露天風呂に入る野猿の顔は、人間さながら。また猿との記念撮影も可能です。
(残念ながら、周辺の山中に餌を取りに行くケースもあって、露天風呂周辺に猿がいない場合もあります)
ただし地獄谷野猿公苑ではエサの販売はもちろんしていませんし、観光客が食べ物を与えること自体を厳しく禁止されています。また猿たちに触れたり、脅かしたり、接触することも厳禁です。マナーを守って見学しましょう。
上林温泉から横湯川沿いに遊歩道も整備されており、片道30分ほどで散策可能。ただし、冬場は雪道となり、さらに積雪直後には、かなりの重労働となるので、防寒と足元対策はしっかりと。
川の対岸には、100度近い源泉を吹き上げる国の天然記念物「渋の地獄谷噴泉」があるので時間が許せば見学を。川底から噴上げる熱泉は高さ20mにまでなる自然噴泉です。
「スノーモンキーホリデー観にバス」運行
渋温泉旅館組合では、冬季に「スノーモンキーホリデー観にバス」を運行。運行期間中、一般車両は地獄谷駐車場まで侵入できないので注意が必要です。
「スノーモンキーホリデー観にバス」の乗車の前日から発売。渋温泉駐車場内発券所にて、チケットを購入の上(現金のみ)予約するシステム。湯田中駅〜渋温泉〜地獄谷駐車場に9人乗りのマイクロバスが2台運行(しかも運転期日が限られます)されるだけなので、満員の場合は乗車できないケースも。詳しくは渋温泉旅館組合(TEL0269-33-2921)に問い合わせを。
地獄谷野猿公苑(Snow Monkey) | |
名称 | 地獄谷野猿公苑/じごくだにやえんこうえん |
所在地 | 長野県下高井郡山ノ内町平穏6845 |
関連HP | 地獄谷野猿公苑公式ホームページ |
電車・バスで | 長野電鉄湯田中駅から長電バス上林温泉行きで15分、終点下車、徒歩30分 |
ドライブで | 上信越自動車道信州中野ICから約16km |
駐車場 | 渋温泉地獄谷駐車場(50台/有料)、冬季間は閉場 |
問い合わせ | 地獄谷野猿公苑 TEL:0269-33-4379/FAX:0269-33-8521 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
取材・画像協力/長野県