北アルプス白馬連峰の北端、小谷村の山中に眠る風吹大池(かざふきおおいけ)。標高1778mに位置し、風吹岳、横前倉山、岩菅山の3つの山に囲まれた雲上の秘池。周囲4km、湖面積は8.75haで日本の高山湖沼中最大の面積を誇っています。というわけで、日本アルプス最大の池がこの風吹大池です。
山好きな人に残された北アルプス最後の聖域
横前倉山(1907m)を最高峰とする風吹火山の頂上近くにあり、周囲を風吹岳(1888m)、岩菅山(1889m)などに囲まれた火口原湖。池の周辺は亜高山帯で、オオシラビソとダケカンバ、コメツガの見事な森になっています。さらに小敷池、科鉢池という2つの池を従えていますが、この池は爆裂火口の跡。風吹岳が溶岩円頂丘で、外輪山との間の火口原に水が溜まったのが風吹大池というわけなのです。
「登山で人気の白馬岳に比べ、人の少ない風吹岳と風吹大池。ハイシーズンでも静かな山歩きが楽しめます」(小谷村観光連盟)。
春から夏にはミズバショウ、ニッコウキスゲ、ワタスゲ、シラネアオイ、シャクナゲが咲き、例年10月上旬から見頃となる紅葉も見応えがあります。
最大水深は9m。湖水の色は褐色ですが主成分は炭酸カルシウムで湖底湧泉から供給されています。
栂池パノラマウェイを利用した栂池自然園入口から片道4時間の登山、または、小谷村北部の北野登山口、土沢登山口(道の駅小谷裏の風吹登山口)から片道2時間30分の登山となります。
栂池自然園からの場合は、登山口(1840m)から標高2200mの湿原地帯である天狗原まで登り、白馬大池への道と分かれてフスブリ山(1944.5m)をへて尾根沿いに池の畔に到達します。
いわば稜線コース。登山口の標高は高いという利点はありますが、距離的にはもっとも歩くことになります。
栂池自然園入口〜(1.8km/1時間20分)〜天狗原〜(2km/1時間20分)〜フスブリ山〜(2km/1時間)〜風吹大池
この稜線歩きのコースは、山慣れた人でだけに許されたコースですので、初心者は立ち入らないのが無難です。
風吹大池畔では風吹山荘も営業
最短コースの土沢登山口は、林道土沢線の標高1090m地点が登山口。林道は荒れていることもあるので、通行可能かどうか事前に小谷村役場に確認したほうが無難です。
山慣れた地元の人なら土沢コースを使えば2時間ほどで風吹大池まで到達します。
風吹大池の池畔にある風吹山荘は、6月第4土曜~10月第2土曜と、ゴ-ルデンウィ-ク期間に管理人が入って営業(事前に確認を)。
2食付の営業もあるので、宿泊の場合には予約を。
今では珍しいランプの山小屋です。
風吹大池一帯は五穀豊穣を祈願する山として農民の信仰の対象になっていました。そんな中で、山麓・来馬地区の人々が山を見上げた時に山に雲がつくと風が吹く(=天気が悪くなる)という観天望気の感覚から風吹岳、風吹大池の名が付いたといわれています。