冬の風物詩といわれる諏訪湖の「御神渡り」(おみわたり)。全面凍結した諏訪湖の湖上に、南岸から北岸へかけて氷が裂けて、高さ30cm〜1m80cmほどの氷の山脈ができるもの。神様の通り道とされる神秘的な現象ですが、2018年を最後に出現していません。北海道では屈斜路湖でも御神渡りができますが、はたして今年は!?
2025年も暖かい大寒で、「御神渡り」はほぼ絶望的!
諏訪湖の伝説では諏訪大社・上社の男神・建御名方神(たけみなかたのかみ)が諏訪大社・下社の女神・八坂刀売神(やさかとめのかみ)のもとへ通った道筋で、「諏訪の神が氷上を渡った跡」ということから「御神渡り」の名が生まれたもの。
神事でもあるため、御神渡りの観察は室町時代の1443年(嘉吉3年)から始められ、2025年で583年目という、世界でも例を見ない結氷観測です。
観察が行なわれてる場所は、諏訪湖に流れ込む舟渡川河口(長野県諏訪市豊田)で、八剱神社(やつるぎじんしゃ=諏訪大社上社摂社/諏訪市小和田)の宮坂清宮司と氏子総代らによって今も続けられています。
気温が氷点下10度近くまで下がる日が3日連続すると諏訪湖は全面結氷し、昼夜の気温差で湖面に亀裂が生じることで氷が押し出されて隆起が生まれ、氷の山並みが生まれるもの。
八剱神社の宮司が出現を判定し、湖上で拝観式が行なわれるのがしきたりです。
八剱神社には『御渡帳』(みわたりちょう)と呼ばれる500年以上も続く観察記録があり、「御神渡り」ができなかった年を「明けの海」としていますが、温暖な16世紀前半は10回ほど記録されていますが、それを除けば産業革命の始まる20世紀前半までは0または一桁だったとか。
20世紀後半は22回と半数近くになり、21世紀になると昨年までの23年間で17回を数えています。
記録のある1443年以降で「明けの海」は2024年までに80回(欠落など含む)しかなかったのですが、1951年以降は39回を数えています。
しかも2023年は4年ぶりに全面結氷もなく、温暖化の影響は歴然としています。
湖面観察は1月5日に始まり、立春(2025年は2月3日)までなので、記録的な暖かさの大寒で、全面結氷にも程遠い状況(1月20日現在)ということで、今年も絶望視され、7季連続の「明けの海」がほぼ確実に。
近年は「「寒の最中でも寒さを感じないことが多い」(宮坂清宮司)とのことで、まさに温暖化、湖の生態系の変化を表す指標になっているのです。
2018年以来、出現なし! 今年の諏訪湖「御神渡り」は!? | |
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