農林水産省が「日本の棚田百選」に選定した134地区のうち、長野県内にあるのは16ヶ所。そのうちの1ヶ所が上田市北東部、殿城地区にある稲倉(いなぐら)の棚田です。稲倉の棚田は、元禄時代から明治時代にかけて開墾された歴史ある棚田で、美しい景観も棚田百選に選定された理由です。
県道4号からも棚田を眺望可能
上田市の東御市寄り、行沢川(ぎょうざわがわ)を挟んだ標高640m〜900mの場所、30haに780枚ほどの棚田が築かれています。
土手は長年にわたって人々が積んだ石積み。それがのどかで素敵な景観を生み出しています。
水源は棚田の上の殿城山(でんじょうやま/1193.6m)を水源とする行沢川。棚田の最奥部が水源地となっています。
国道18号と菅平高原を結ぶ長野県道4号真田東部線(かつての菅平有料道路)沿いに位置しているのでアプローチも簡単です。
平成11年に棚田百選に選定されたことを機会に、「稲倉保全と活性化をすすめる会」が設立され、さらに平成15年にはそれが発展して「稲倉棚田保全委員会」となって地元では棚田保全に尽力しています。耕作放棄地に黒毛和牛を放牧して農地に戻す取り組みなども行なわれてきました。雑草も減るし、牛に与える飼料も減ると一石二鳥なアイデアです。
7月第3土曜には『ほたる火まつり』を開催
ここで収穫される棚田米は、乾燥施設を使わず、昔ながらの「はぜかけ」で乾燥。だからおいしさも格別で、『稲倉の棚田米』、『稲倉こしひかり』(天日干し米)というブランドで販売されています。
さらに「澤の花(信州上田稲倉棚田米純米酒)」(伴野酒造/佐久市)、「信州 亀齢(きれい) 稲倉棚田産ひとごこち純米吟醸」(岡崎酒造/上田市)という棚田で生産の酒米を使って醸した地酒も用意。こちらは宮島酒店(上田市真田町長7615-1)、大久保銘商店(上田市中央5-16-25)などで購入が可能です。
棚田のイベントとしては、1000本のロウソクの炎が棚田の輪郭を夜空に浮かび上がらせる幻想的な『ほたる火まつり』が毎年7月の第3土曜に開催されています。ペットボトルにロウソクを挿し、砂を一握り入れて安定させランタンをつくり、それを棚田に設置するもの。標高差があるので、あぜ道にホタルが舞うように光が揺らいで幻想的。
稲倉の棚田 | |
名称 | 稲倉の棚田/いなぐらのたなだ |
所在地 | 長野県上田市殿城2889-1 |
ドライブで | 上信越自動車道上田菅平ICから約8.3km |
駐車場 | 稲倉の里農村交流館駐車場(無料)を利用 |
問い合わせ | 上田市農政課 TEL:0268-21-0053 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |