草軽電気鉄道の駅舎が現存! 北軽井沢駅

かつて軽井沢と草津を結んだ草軽軽便鉄道。軽井沢駅前の新軽井沢を小瀬温泉、上信国境(群馬・長野県境)の国境平を経て北軽井沢、上州三原から草津温泉へと到達していました。大正15年9月19日に全通。その駅舎が往時のままに残されているのが旧北軽井沢駅舎です。

登録有形文化財の駅舎は「法政大学村」の寄贈

大正9年に法政大学の松室致学長は長野原町応桑の土地273haを草軽軽便鉄道から購入。かつて北白川宮家の牧場だった土地を、「法政大学の教職員と学生を中心とした理想的な教育と共同生活の場」として「法政大学村」(現・社団法人・北軽井沢大学村組合、通称「大学村」)をつくろうと考えたのです。
昭和3年夏、第1区40戸の山荘が建てられました。初期の村民には、安倍能成、谷川徹三、野上弥生子(豊一郎夫人)、田辺元、津田左右吉、小泉信三、岸田国士らが名を連ねています。
最寄りの駅は地蔵川駅で夏期のみ営業の臨時駅として大正7年6月15日に開業、大正8年9月22日に常設の駅に変更されています(昭和2年に地蔵川駅から北軽井沢駅に改称)。

昭和4年、「法政大学村」第2区を開発して40人に分譲。この年、「法政大学村」は、最寄りの北軽井沢駅の駅舎を新築し草津電気鉄道(大正13年に草軽軽便鉄道から草津電気鉄道に社名変更)に寄付しています。これが今も駅舎が残る「北軽井沢駅」で、よく見ると駅舎の正面の欄間には法政大学のトレードマークであるHが刻まれています。

駅舎は善光寺をモデルにしたといわれるように、一見寺院建築風ですが、よく見ると和洋折衷になっていて、それ以前の茅葺き小屋の駅舎に比べるとモダンで当時の人は眼を見張るようなものだったでしょう。
昭和35年、草軽電気鉄道(昭和14年に草津電気鉄道から社名変更)の新軽井沢駅〜上州三原駅間廃止により北軽井沢駅も廃止。その後は草軽交通の事務所や法政大学OBの経営する喫茶店などとして使われていました。
平成18年には「旧草軽電鉄北軽井沢駅駅舎」として文化庁から国の登録有形文化財に指定されています。

国産初の総天然色映画『カルメン故郷に帰る』の舞台にもなっている!

『カルメン故郷に帰る』でリリィ・カルメン役を演じた高峰秀子

『カルメン故郷に帰る』でリリィ・カルメン役を演じた高峰秀子

北軽井沢は法政大学村があり、文化人の別荘地として発展したこともあって、戦前から多くの映画のロケ地になっていました。
昭和6年、本邦初のトーキー作品となった『マダムと女房』(監督=五所平之助、主演=渡辺篤・田中絹代)、満州をイメージしてロケ地となった昭和12年の日独合作映画『新しき土』(監督=アーノルド・ファンク、伊丹万作、主演=原節子)、昭和26年には、北軽井沢大学村(法政大学村)の初期の住人でもある岸田国士原作『善魔』の映画化(監督=木下恵介、主演=淡島千景・千田是也)と人気のロケ地となっていたのです。
軽井沢(長野県側)では、昭和32年、『山鳩』(監督=丸山誠治、主演=森繁久弥・岡田茉莉子)が、小瀬温泉駅を舞台に(映画では「落葉松沢駅」として登場)、二大スター共演の映画が公開されています。

そして昭和26年、北軽井沢で3ヶ月にも及ぶ長期ロケを敢行した『カルメン故郷に帰る』は国産初の「総天然色映画」として公開されて話題を呼んでいます。
木下恵介監督が高峰秀子のために書き下ろした作品で、なんと主演の高峰秀子はストリッパー役。
北軽井沢で育った娘・おきんは、家出をして東京に出、リリィ・カルメンという名のストリッパーになっていました。ストリップは芸術と疑わないカルメンは、新軽井沢から草軽電気鉄道に乗って浅間山山麓を走り、同僚の踊子・マヤ朱美(小林トシ子)を連れてさっそうと故郷に帰ってくるのです。

そんなカルメンが故郷に錦を飾る駅が、北軽井沢駅。
富士写真フイルム(現:富士フイルム)が開発したカラーフイルムを使った国産初のカラー作品(総天然色映画)が『カルメン故郷に帰る』。北軽井沢や、浅間山が鮮やかに描かれています。
平成24年9月26日、木下惠介監督生誕100年に因み、デジタルリマスターを施されたBlu-ray Disc版がリリースされ、特典として、16mmモノクロ版が全編収録。同年の『ヴェネツィア国際映画祭』でも上映されています。

カルメン故郷に帰るポスター
 

旧草軽電鉄北軽井沢駅舎 DATA

名称 旧草軽電鉄北軽井沢駅駅舎
きゅうくさかるでんてつきたかるいざわえきえきしゃ
所在地 群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢
電車・バスで JR軽井沢駅から草軽交通バス北軽井沢行きで41分、または、草軽交通バス急行草津行きで35分、北軽井沢下車
ドライブで 上信越自動車道碓氷軽井沢ICから31km(55分)
駐車場 3台/無料
問い合わせ 北軽井沢観光協会TEL:0279-84-2047

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